◆ 第三章 Slave Doll 粘膜肉人形 ◆ 「〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」 天地がぐるぐると回っていた。 手で触れることの出来るほど冷たい恐怖に飲み込まれていく。 何もすがるもののない底知れぬ穴に落下し、たとえ底が迫ってきたとしても、落下を食い止める望みもない感覚。 「げほ! がは!」 肺から全ての空気を吐き出して、視界がぼやけ、頭が身体から切り離されたかのように身動き出来ない。 すべての抑制が失われ、体の自由は喪失し、頭蓋骨の内部で雷が鳴り響く。 悲鳴をあげようにも、肺に空気が残っていなかった。 「ごふっ! ごほ! ぐぅ……はぁーっ、はぁーっ…」 空気を求めて肺が軋む。 強ばった背がビクビクと痙攣し、尾を引く長く低い叫びで目が覚めた。 今の叫びが、自分の口から出ていたのだと気付くのに数分かかった。 両手で顔を覆うと、涙と汗で掌がベットリと濡れている。 「はぁーっ、はぁーっ…うげぇ…また、か…」 いつもの、この上ない幸福感と引き換えに訪れる酷い悪夢。 「ごふ! うう……精力を飛躍的に増大させるのはいいけど、全く…この後味の悪さだけは最低、最悪だぜ…」 ごぼごぼいう泡音で意識が覚醒する。 コーヒーメーカーだ。 香りだけはいい、安モノの合成珈琲の蒸気が薄暗い部屋を漂っていた。 「くそ……っ!」 汗と粘液でネバつくシーツを身体を引き剥がし、裸のままベッドの端に腰掛ける。 忘却の彼方へ消え失せた悪夢の残骸を振り払うように頭を振った。 何度も煮返したアルミポッドから焼けこげたカフェインの匂いが漂っている。 小脳に直接届く感じだ。 「つつ! …脳ミソが跳ね回って頭蓋骨の中でダンスしてやがる…」 壁のデジタル時計が視界の端に入った。 溜りまくった劣情を一気に解放し、使い果たしてからまだ2時間しか経っていない。 「新しく試した薬は、どうやらオレには合わなかったみたいだな…」 舌先が今も少し痺れ、口内炎が起きかけているのか頬の粘膜が痛む。 いつものが切れて、間に合わせを試したのがマズかった。 今度はもう少し弱くて軽い奴か、純度の高いのにしておこう。 「う……!」 ボトルから数錠取り出そうとしてシーツにバラまけたが、構うものか。 「そうさ。どうせ、後で拾って口へ放り込むんだからな…」 不法在住者が合成したにしては上物の制酸剤を口に放り込んで噛み砕く。 残りが少なくてヘタなモノに手をだした挙げ句がこれとは、な……こんな事なら、もう2つボトルを多めに買っておけばよかった。 「うへ! コイツも効き目はともかく……相変わらず最悪な味だぜ」 どうにか最低最悪な状態は脱して、少しは気分がマシになった。 まぁいい。微かに残ったクソの役にも立たない理性に責められ、のたうち回るのはお終いだ。 「そうさ。まだまだ。まだ夜は終わっちゃいない…」 ようやく落ち着きを取り戻し、周りが視界に入ってきた。 壁に、ベッド……それだけしかない、なにもない部屋を改めて認識する。 さして広くもない粗末な部屋の殆どを占めるダブルベットは最近新調したものだ。 そして、そのシーツの上に、ぐったりと汗まみれな美少女が横たわっていた。 「ふぅ……」 身につけているのは黒い凝ったデザインの、透けるボディラップで僅かに肌を覆うだけだ。 四肢を投げ出し、汗ぬれたままのその素晴らしい姿態をベッドで惜しげもなく晒し、眸めを薄く開かせて虚脱したように身動きしない。 たっぷりとザーメンを塗りつけ、キスマークを所狭しと刻み込みんでやった爆乳が、穏やかな呼吸に合わせて上下している。 ギシ…… 「ん……旦那…さま…?」 ゆっくりとのしかかると、オレの重み感じてか薄っすらと目を開けた、その貌かおには艶っぽい憂いと焦燥の翳かげが揺れていた。 「フフ……全く素晴らしい躯からだだったよ。搾り尽されてしばらく意識を失ってたようだ」 「あぁ……リリカで…ご満足、いただけたんですね…嬉しい、ですわ…」 恍惚とした表情のまま、微かに肩を波打たせて気怠そうにオレを見返してくる。 つい数分前に、最奥にたっぷりと注ぎ込んでやった子宮が発情したまま、まだ燻くすぶっているのだろう。 元より女という奴は男に比べ、とんでもなく貪欲で、イキ果てようと何が尽きるわけでない構造なのだから。 小首をかしげてオレを見返すその物憂げな顔からは、肉欲に潤んだ瞳を宙に泳がせ、歪んだ朱唇からダラダラと涎を垂らして、 犬のようにむせび泣きながら永遠の隷属を誓った淫ら極まりない姿を想像する事は出来ない。 「それにしても良く寝てたいたな? 嬉しそうに舌をクネらせて喉を鳴らしていたぞ? 夢の中でもたっぷりとオレのチンポをしゃぶってたのかな?」 「あぁ…はぃ…リリカ、とっても臭くってねばねばので…体中、ザーメンにまみれてましたぁ…」 「旦那様の、とってもとっても濃いから…固まって……舌の上でぷるぷるっ、て……こびりついてぇ…」 射精を終えていない怒張を強引に引き抜き、脈打つ亀頭を顔面に突きつけ、大量の濁液をその艶やかで長い髪を、憂いに満ちた顔を、 搾り尽されて薔薇色に鬱血した乳房をザーメンまみれにし、汚し尽したリリカがウットリと言う。 「エロイ顔で顔射を受け止めるからなぁ。全くザーメン啜すする為ならなんでもする牝穴だ、お前は」 「ぁん…そんなこと……おっしゃらなぃ…で、下さぃ…」 「旦那様のお情けいただけるなら…なんでもするように、リリカを……こんな風にしたのは旦那様ですのにぃ…」 「フフ……その上目づかい、なかなかいいぞ。で、オレのチンポはそんなに旨かったのか?」 「はぃ……うふふ…とっても…凄く濃くってなかなか飲み下せないのを…旦那様のお情けを…一滴も残さずいただきましたぁ…」 生臭いザーメンを吐き出したばかりの亀頭を咥くわえ、尿道に残った精液を一滴残らず吸い尽す口奉仕がリリカのお気に入りだ。 射精が終わったら、すぐさまこびりついた残滓を唇と舌で舐め清めるようリリカは厳しく躾しつけられている。 こんな可愛い顔をして、尿道に残った精液を吸いだしながら、少し柔らかくなりかけた肉棒が次第に硬さを増していくのを、 嬉しそうに目を細めてちゅうちゅう、と音を立てて舐めしゃぶる姿を見たら、大抵の男はそのまますぐに2発目を放ってしうまうだろう。 こうして数え切れずリリカを抱いてきたオレでさえ、眉間に皺をよせてマブタを切なそうに閉じながらオレの股間に顔を埋め、 せっせと献身的に口奉仕する、その満ち足りた顔を眺めて放ちそうになったのが、一度や二度じゃないのだから。 これだけの美少女に己のモノを愛おしく舐めしゃぶられ、指で慰められれば、男なら誰だって征服感に満たされてすぐに回復してしまう。 「はぁ…あぁ……深呼吸すると生臭い精液の臭いがぁ…ツン、って鼻に抜けてぇ…喉の奥にからまる感じで…素敵ですぅ……」 「クク! 欲張りなお前の事だ、さぞかし激しくチンポしゃぶり尽したんだろうなぁ? 夢の中でもチンポに酔ってたのか?」 情事の後の、しどけない痴態を晒すにリリカの姿に再び熱いものが込み上げてくるのを感じつつ、オレはいささか意地の悪い質問を囁いた。 乳房を揉み、乳首を弄びながら意地悪く聞かれ、リリカは見る見るうちに残滓をこびりつかせた頬を火照らせ、拗ねたような顔を背けた。 「ぁん…もぉ、意地悪ですわ……もっと早く起こしてくだされば良かったのにぃ…そうしたら…」 「そうしたら?」 「そぉしたらぁ……本当に旦那様に御奉仕して…また濃ゅうぃ濃ゅうぃ、お情けの残りをいただけたかもしれませんのにぃ…」 少し口を尖らせながら、リリカがそこかしこにネットリとした絶頂の余韻をにじませる身を起こす。 「はぁ……ん!」 不意に、白く丸い尻をふるふると震わせた。 身じろぎしたので、ぱっくりと口を開けたままの尻孔と膣口から、精液がぷくぷくと泡立ちながら内腿を伝ってシーツへ垂れたのだ。 そんな粘つく残滓を、内股に擦りつけるように指先で弄びながら、あふれ出た精液をすくうようにえぐり出し、尻から太腿へと塗り拡げてやる。 砂時計のようにくびれた細腰からたっぷり脂を溜め込んだ尻を揉みほぐし、 アナルをゆっくりとほぐすように残滓と愛蜜の混ざった粘液をなすりつけられ、リリカが嬉しそうにふるふると背を震わせた。 「お前はもうとっくに、俺のチンポがなくちゃ生きていけないんだ。そうだな?」 「…はぃ…リリカは、旦那様のオチンポなしじゃ、もぉとっても生きていけませんわ…」 「どうか……どうか旦那様専用の牝奴隷のリリカを…哀れに思うのでしたら、またお務めを果たさせて下さいませ…」 うわずった声でそう囁きながら、四つんばいのまま擦り寄ってきたリリカの、その朱唇に情熱的に唇を重ねてやる。 一瞬だけひるんだものの、すぐにオレの頭を切なそうに抱き寄せると、ネジるように唇を繋ぎ、 貪るように舌をさし込んで熱い粘膜をヒタリと吸い合わせ、嘗め回してきた。 散々呑のませ、喰らわせてきた己の放った濁液の味と匂いが生臭くもあるが、それがオレを無性に興奮させた。 この匂いこそが、裡うちも外も全て己のザーメン漬けにし、この牝の穴という穴をこの手で征服した証でもあるのだから… 「あふぅ……とっても、おいしぃ…」 「フフ…可愛い事を言う。今回だけは特別だぞ。お前の口はオレのチンポを舐め、ザーメンを啜すする為だけにあるんだ、忘れるなよ?」 「はぃ…リリカのお口と舌は、旦那様のオチンポに御奉仕する為だけのモノだと、心得ておりますわ…」 透き通るような雪白い肌が薔薇色に染まり、潤む瞳が輝いている。 その夢見るような満ちたりた表情は、金で買われた女が媚びて浮かべられるものではない。 心からオレだけを愛し、従い、望まれるままに全てを、己を支配する男に捧げられる悦よろこびに満ちあふれていた。 「はぁん…リリカ、もっと上手になって、旦那様にご満足いただけるよう…に…あふ…い、一生懸命、ご奉仕しいたしますぅ…」 「ああ…でも、旦那様がそんなに優しくキスしてくださるから…リリカ…リリカまた……ぁんっ…くうぅ…んっ…」 悩ましげな甘い吐息がオレの顎にかかる。 さらに深くい交わりを求めてリリカの濡れた舌が滑り込み、口腔で妖しく蠢いた。 切なそうに小鼻を鳴らし肩を震わせる柔らかな朱唇から、微かな羞恥と歓喜が伝わってくる。 甘い吐息と、青臭い性臭と、汗の匂いが柔らかな牝の香りと混然となって鼻腔をくすぐった。 そんなリリカに任せて舌を与えてやると、たっぷりと湿り気を帯びた舌を嬉しそうに絡め、口内へ唾液を流し込んでは、 無我夢中にクチュクチュと音を弾かせて激しく唇を貪り、すがるように舌を絡ませてくる。 窮屈なボディラップから殆どはみ出した乳房の頂は痛々しい程に尖り、 無毛の股間では包皮が剥けて肉芽は信じられないほど勃起していた。 リリカは舌の根が痛くなる程に吸い付き、オレが恵んでやった唾液をさも旨そうに味わっている。 「ふぁ……はぁーっ、はぁーっ…あぁ…」 長いキスが終わって唇が離れると、ねっとりとした唾液が糸をひく。 恍惚の表情を浮かべ、甘い吐息を漏らし開放された口で大きく呼吸するリリカ。 が、またすぐに口唇を塞がれ、その豊満な乳房を強く揉み搾られ、くぐもった悲鳴をあげる。 「はぁ……んん!」 けれど、オレに抵抗するのは無駄だとすっかり躾しつけられているリリカは、長いまつ毛を震わせながら瞼を深く閉じ、 与えられる刺激を噛みしめながら、成すがままにその乳房を揉み搾られる苦痛と快楽に身を委ねている。 ズッシリとした重さといい、むにゅんむにゅんした弾力といい、乳肉にめり込む指を跳ね返す瑞々しい張りといい、 蕩とろけてしまいそうな柔らかさといい、いくいら搾り上げて嬲り尽しても、少しも搾り飽きる事のない極上の乳房だ。 「よし。それじゃもう一度聞こう。リリカ、お前は、オレの何だ?」 「はぁーっ、はぁーっ…あぁ…はぃ…リリカは……だ…旦那様専用の粘膜肉人形、ですぅ…」 乳首はキンキンに勃起し、尖りきって、まるでオレを誘うようにヒクついている。 上唇を挟んでちろっと舐め、荒っぽくキスを浴びせながら乳房を揉み搾られる手順にリリカはすっかり馴染んでいて、 今ではそうするだけで昇りつめて潮を噴く程なのだ。 この美しい唇も、乳房も、アナルも、マンコも全てがオレに捧げられているのだと思うと、普段の仕事の苦労なぞ消し飛んでしまう。 「ククク……そうだ。お前のマンコも穴という穴は全てオレのモノだ」 「はぃ…リリカは、旦那様に…処女も、アナルも…はぁーっ、はぁーっ…この身の全てを捧げて…御奉仕しています…」 「本当か?」 ぎゅむ! むぎゅうぅ! 「ぁん! そんな、ら、乱暴にぃ! あん! お乳ぎゅって、し、しないで下さぃ、ませぇ…!」 「嬉しいくせに。そういう事を言う、リリカにはこうだ!」 「あふ! あっ、あっ、ああぁん! イ、イイっ! ソレいい、ですぅ! あく! さ、先っちょ引っ張っちゃ…! く…ぁあん!」 荒々しく揉みしだかれ、乳肉を搾り込まれる痛痒に顔を歪めているが、 徹底的にマゾの性さがを刻み込まれたリリカの媚体は、どんな凌辱も甘く蕩とろけける官能へと変化させる事が出来るのだ。 哀しいまでに牡に抱かれる為だけに磨き抜かれた媚体が、ムンと、牝の匂いを放ちながら、さならる辱めを求めて身震いしている。 「フフフ…手応えも感度もスゴイし、申し分ない躯からだってのはこういうのを言うんだろうなぁ…」 「はぁーっ、はぁーっ…あぁ……ん! だ、旦那様ぁ……っ!」 反りかえった白く細い喉から、止めどなく快楽の悲鳴が響く。 どんなに辱めようとリリカは、許され、命じられた台詞を、ただ濡れた朱唇を震わせて繰り返すだけだ。 粘膜肉人形に、自由などない。 あるのは絶対の服従と隷属だけだ。 「その切なげで色っぽい顔といい、弱々しく媚びる声といい…まるっきり人間…いや! それ以上だぞ、お前は」 「はぁーっ、はぁーっ…はぃ…旦那様に、ご満足いただけて……ぁふ! はぁーっ、はぁーっ…リリカも嬉しいですぅ…」 「フフ…なにもかも、本当にお前は最高だよ…」 オレの腕の中でその身を震わせる、その仕草や表情は酷く艶めかしくとても造りモノだなんて思えない。 最先端の軍需技術までも転用されて形作られていると言う噂も、あながちウソでもないのだろう…… >次へ>戻る